祖母が残してくれた宝物「きょうだい家族文集」

祖母が残してくれた宝物

今は亡き祖母が残してくれた宝物

大正から昭和初めに生まれた祖母の兄弟姉妹が作成し、後世に当時の体験などを残してくれた文書です。
戦争体験や当時の生活の状況や思い出など沢山書いてあります。

何より1人で作成したのでは無く、兄弟姉妹のそれぞれの思い出などが書かれています。

戦地に行った人は戦地の状況、戦地に行ってない姉妹達は身の回りの事、なにより兄弟姉妹10人、年齢で、20歳ぐらい離れてるので置かれてる状況はそれぞれで。

それぞれが体験した状況が書いてあります。

文集に残されていたお話を紹介します。


●昭和16年7月突然 繁兄さんに召集令状がきた

丁度その頃、姉さんは愛の結晶を、お腹に宿していて、予定日が1ヶ月後に控えていた。

令状受領後、出征まで余すところ2日間で兄さんは「まるで俺は決死隊のようだ」と姉さんに言ったそうである。

兄さんは出征に当たって、姉さんに次の事を言い残した。

「若し俺が戦死したら、お前もまだ若いから、誰か良い人が居たら、結婚してもいいからな」

姉さんは「たとえどんな事があっても誰とも結婚などしないから、無事に帰るよう願ってます」と言った。

... あの頃出征兵士はスパイの目に付かぬよう、忍んで出征した。
出征兵士団の見送りは禁止となり、私達は大堀端の小さな鉄橋の所で手を振り見送った。

それが一生の別れになるとは...

兄・繁は我が子を一度も抱く事も出来ずに

祖母が残してくれた宝物

祖母が残してくれた宝物

■投稿者
埼玉県、中村寿さん(45)

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