戦争の実態を現代に伝える手がかりの1つである「写真」。当時モノクロだったこの写真を、最新のAIテクノロジーと、当事者の記憶を元にカラーで復元する試みが現在、行われています。「過去」を「現在」に引き戻すカラー写真。ここに並べた呉の街並みと空襲のカラー写真は、戦争の気配や記憶をありありと伝えています。
- カラーで見る呉空襲
- 呉の街並み 軍港都市の面影 空襲が奪ったもの カラー化写真は記憶のトリガーとなる
呉の街並み
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軍港都市の面影
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空襲が奪ったもの
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カラー化写真は記憶のトリガーとなる
「記憶の解凍」プロジェクト
上記の写真のカラー化を手がけるのは、広島女学院高校3年生の庭田杏珠さんと、東京大学大学院教授・渡邉英徳さんによる「記憶の解凍」プロジェクト。2年前、広島出身の庭田さんが被爆者の記憶を継承する活動として、渡邉教授の指導を受けながらスタート。AIによる自動彩色と、写真所有者の証言を元に手作業の色補正がなされます。対話を通じて記憶が解凍され、色彩とともに記憶がよみがえります。
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渡邉英徳
1974年、大分県生まれ。東京大学大学院教授。情報デザインとデジタルアーカイブによる記憶の継承のあり方について研究。「ヒロシマ・アーカイブ」「ナガサキ・アーカイブ」などを制作。『データを紡いで社会につなぐ』(2013年)などを執筆。
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庭田杏珠
2001年、広島県生まれ。小学5年生の時、中島地区のことを知り「被爆者の想いの継承」に関心を持つ。広島テレビ新社屋における展覧会、ムービー制作など、アート&テクノロジーを活かした、新しいかたちの記憶の継承に取り組んでいる。
当事者の記憶が写真の色彩を補完する
写真をスキャンしデジタルデータ化。自動カラー化した後に人の手で色補正。
さらに所有者へのヒアリングから、記憶の中の色彩に近づけます。
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3タイプのAIを
組み合わせて色付け。 -
AIが付けた色の
バランスを調整する。 -
当時を知る方の意見を
聞き最終調整。
(元写真提供:高橋久)
モノクロからカラーになった写真は生気を取り戻し、半世紀以上前の呉の日常や戦争の有様が、より身近な出来事として鑑賞者に迫ってきます。皆さんはこの写真から、何を感じ取ったでしょうか。
参考文献: 渡邉英徳,庭田杏珠:「記憶の解凍」:カラー化写真をもとにした“フロー”の生成と記憶の継承;
デジタルアーカイブ学会誌 第3巻 第3号,p.
317-323,2019年6月
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